本サイトの別ページでご紹介したように、私は在宅ライター/Webライターさんが作成した記事を校正する仕事を行っていました。その現場で時々起こっていたライターさんとクライアント(仕事の発注者)の意識の違いから生まれるトラブルについてご紹介します。
これはライターとして活動している人間にとっての「あるある話」です。在宅ライター/Webライターに興味がある方は気軽な気持ちで読んでくださいね。
目次
在宅ライターの仕事って?クライアントってどんな人?

まずはライターに記事の作成を依頼する『クライアント』の存在についてご紹介しますね。
通常、在宅ライター/Webライターは在宅ワーク(クラウドソーシング)の求人サイトで記事作成の仕事を得ています。そして、ライターはその仕事の募集者であるクライアントに指定された記事を納品することで報酬を得ています。
一般の方が”記事”と聞くと新聞や雑誌を想像する方が多いのではないでしょうか。しかし、ほとんどの在宅ライターにとって記事とは、ウェブサイトに掲載されている「1ページ分の文章」を意味するんです。そして、その記事を必要としているクライアントとはウェブサイトの運営者です。
規模の違いはありますがサイト運営者は仕事としてサイトを運営していて、サイトに掲載する広告から収入を得ています。そのため、広告収入を増やすためにはより多くの人にサイトを訪問してもらう必要あり、サイト訪問者数を増やすためには訪問者(読者)に有益な情報や面白いと思ってもらえる情報を掲載する必要があるんですね。
そこで必要になってくるのが、サイトの記事を作るライターというわけです。つまり、クライアントとはサイト運営者のことで、在宅ライター/Webライターとはウェブサイトの文章を作る人なんですね。
クライアントは読者に魅力&人気のある内容を期待する

それではクライアントはライターにどのような記事を期待するのでしょうか?サイトによってテーマ・ジャンルに違いはあるのですが、共通していえるのは「読者に人気のある記事」です。つまり、サイト運営者は読者にウケそうな記事を書いて欲しいんです。サイトに人気が出ることは訪問者数が増えることになって、広告収入の増加に繋がりますからね。
では、読者に人気の記事とはどのような内容でしょうか?その代表的な記事は「○○ランキング」や「○○まとめ5選」のようないくつかの商品やサービスを一覧で比較・紹介する記事なんですね。理由は初めてサイトを訪問した読者でも、記事タイトルから書かれている内容が簡単に理解できることや、特定のジャンルについて知りたい&色々見比べてみたいと思っている読者に刺さる内容だからです。
また、サイト運営者の立場からいえば「○○ランキング」や「○○まとめ5選」は広告を掲載しやすい記事構成というメリットもあるんです。
ライターは自分が持つ専門知識を小出しにしたい

在宅ライター/Webライターは誰しも自分の得意分野を持っています。私であれば海外の映画・ドラマやその出演者情報、コスメ関係の記事作成なら誰にも負けない自信があります。そんな自分が得意なジャンルの記事は知識のないライターに比べてより掘り下げた内容の記事を作れますし、何より書いていて楽しいんですね。そのため、自分の得意分野ならいつまでも書いていられるライターが多いんです。
しかし、クライアントに先述の読者に人気のある「○○まとめ5選」のような記事を作ってくれと依頼されると、ライターはなんだか損をした気分になるんです。
その理由は例えば「本当に感動する海外映画5選」をクライアントから依頼されたとします。すると、ライターは多くの候補の中から5タイトルだけを厳選して、それぞれについての簡単なあらすじや見どころを紹介する記事を作成して納品することになるんです。そうすると、以降は同じクライアントのために作成する記事には「感動する海外映画」の各作品の個別記事を書きづらくなるんです。
なぜなら、既に納品した5選記事のあらすじや見どころと一部重複してしまう部分が出ますからね。具体例をあげると映画「E.T.」のあらすじや見どころを5選記事に書いてしまうと、「E.T.の魅力」だけをまとめた記事を作成することが難しくなるんです。
また、5選記事やランキング記事はライターにとっては物足りなさを感じる仕事なんですね。なぜなら「本当に感動する海外映画5選」でサイト1ページ分(2,000文字以上)にまとめてくれと依頼されたとすると、単純計算で1タイトルが400文字ですよね。
400文字はちょうど原稿用紙1枚分なのですが、ライター自身が厳選した魅力溢れる映画を原稿用紙1枚にはとてもまとめきれません。ライターは「もっと詳しく魅力に感じる要素や場面を紹介したいよ!」と感じてしまうんです。まるでマグロの大トロの一番美味しい部位だけを食べて、中トロや赤身は捨ててしまうような物足りなさ・勿体無さを感じてしまいます。
クライアントとライターの意識の違いがトラブルを生む

記事を作成している現場では「○○ランキング」や「○○まとめ5選」のような読者ウケする記事を作ってもらいたいクライアントと、得意分野を安売りしたくないライターの意識の違いによって、ときどきトラブルが起こることがあります。
具体的には「本当に感動する海外映画5選」を作って欲しいとクライアントが依頼しても、先述の理由からライターはその仕事を引き受けないケースがあるんですね。少し冷めた言い方をするとクライアントにとって、ライターは運営するウェブサイトの文章を作ってもらう人で、サイトに対して価値のある記事を提供できないなら必要がない人材です。
そして、大抵の場合は「作ってください」「作れません」のやりとりが何度か繰り返された後には、ライター自らがクライアントの元を去っていくんです…。
誤解のないようにいっておくと、クライアントがライターをクビにすることはほとんどありません。理由は簡単で人気のあるウェブサイトを維持するためには優秀なライターが何人も必要だからです。そのため、クライアントの意にそぐわないからといって簡単にライターのクビを切っているようではサイト運営に必要なライター数を確保できませんし、そもそもそんな傍若無人なクライアントの元には優秀なライターは集まりません。
まとめ

いかがだったでしょうか。運営サイトの人気を上げたいクライアントと、自分の得意分野は小出しにしたいライターの間で今回紹介したようなトラブルをよく見かけます。
ライターの立場としてはやりたくない仕事は断る勇気も必要ですが、お世話になっているクライアントのためにできるだけの要求に応えることも大切なのだと思います。ライターとして長期で活動していくならネタ切れを恐れて得意なジャンルの記事を書きしぶるよりも、『書いた以上の情報を常に仕入れていく姿勢が大切なのだ』と本ページを執筆中に私自身が気づかされました。
在宅ライター・Webライターはとても奥が深くやりがいのある職業です。そして、日本語が書ければ誰でもすぐに始められる職業でもあるんです。その上、今はウェブサイト作りが盛んで、在宅ワーク(クラウドソーシング)の求人サイトでは「初心者ライター歓迎」の多くの募集があります。
この機会にみなさんもライターとしての第一歩を踏み出してみませんか?